男達の夜

今日は君たちに男の友情とは何たるかを熱く語らなければいけない。
なぜ語らなければいけないかというと、今夜、男5人による熱い大冒険が繰り広げられたからだ。
今夜の男達は何かが違った。そう、確実に頭のねじが数本緩んでいた。
今夜繰り広げられたその冒険活劇の一部始終を皆さんにお話しよう。



ことの始まりはある一人の男からのメールだった。
「週末ドライブいこ♪」
送り主の名は通称リーダー。
鍛えられし肉体をもち、その風貌は常人と闇ブローカーの紙一重のライン。
上下、黒をまとい、頭はボーズ。
そんな男から舞い降りた週末のドライブコール。
そしてこのメールは時を同じくして俺を含めた4人の男に送られていた。



PM9:30。
男達は指定された場所に集合していた。
そう、ある一人の男を除いて…。
とおる大遅刻。
前日の昼から寝ておらず、あまりの睡魔に取り付かれ
仕事から家に着いたと同時に車の中にて気絶(爆睡)。
意識を取り戻し時計をみるとPM9:45。
断末魔の叫びが夜の街に響く…。



若干の遅刻はあったものの主役は揃った。
男5人の夜が始まった。
車2台にそれぞれ乗り込むと早速戦場に向かった。
そう、その場所とは約束の地「フライングガーデン」。
ファミレスだ。



和風ハンバーグを食べるとおるはゴキゲンだった。
なぜならこの日はほとんど何も食べておらず腹が減っていたからだ。
そしてそれは皆同じだった。
それぞれ思い思いのものを頼む。
しかし一人だけパフェを食べる男の姿が。
リーダーだった。



その後、一向はドライブを経て始まりの場所に集合した。
ちなみにその帰路の途中でとおるはチェイサーの時速150kmを体感することになる。
チェイサー超はえー。



そして5人はとおるの愛車「CAPA」に乗り込むと再び夜の街にくりだした。
走行距離60kmを超える長い長い旅の始まりだった。
目的地を決め、その場所を目指しながら車中で語らう。
目的地に着いたら、また次の目的地を決めまた走りだす。
始めは普通のドライブだった。



しかし途中からそのドライブの趣旨が変わりはじめた。
あれは24時をまわった頃だったろうか。
男達はある一つのことに盛り上がりだした。



「いかにマイナーな道に入っていけるか」



深夜のテンションとは恐ろしく、誰一人としてその行為に違和感を覚えるものはいなかった。
とおるを除く4人は車に関してかなりの知識、技術をもっておりここいら一帯の道は網羅していた。
男達は自分達がいかに知らない道に入っていけるか。
それに全てをかけた。
いわば探検隊のような感じになっていた。
というかなっちゃった。



信号のあるような大きな道路(メジャー)に入ってはいけない。
住宅街の狭い路地(マイナー)や、車幅ぎりぎりの細い道(ディープ)を目指すのだ。
そして時には民家に迷いこんだり、河原沿いの道なき道(ディーペスト)を進んだ。
そして男達は究極の道に迷い込んだ。
(ネオディーペスト)の称号を与えられたその道は道ではなかった。
河原沿いにある畦道(あぜみち)。
それが次第にその姿を歪ませ、今まで唯一の救いであった轍(わだち)さえも男達から奪ったのだ。
要は河原沿いのせまっちい畦道進んでたら道が無くなった。



男達は絶望した。
道がない。
進む道を奪われた男達は引き返すしかなかった。
一人の男に誘導されてバックするCAPA。
時折ギギギギギという嫌な音が耳に聞こえた。
とおるは絶句した。



しかし男達の迅速かつ冷静な連携プレーにより九死に一生を得ることになる。
なんとか道なき道から大通りに戻ることに成功したのだ。
男達は歓喜した。
そして先ほどの大冒険を思い出し大爆笑するのであった。



今夜の大冒険を通してとおるは学んだ。
「深夜のテンションは人を狂わす」と…。
男達の冒険はまだ始まったばかりだ。